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腹腔鏡か開腹か

10年前に腹腔鏡手術を受け、今回は開腹手術を受けました。 どちらも受けてみて感じたことがあります。 それは『 開腹手術も悪くない 』ということです。 子宮筋腫の手術を受けなければならなくなった場合、ほとんどの方が『腹腔鏡』を希望されると思います。 現に10年前の私は、腹腔鏡に固執していたと言っても過言ではありませんでした。 お腹に大きめの傷が残るのがイヤだったし、仕事が忙しかったので早期復帰したかったから。 しかし、10年経ってだいぶ考えが変わっていました。 傷より復帰より、閉経までの間に子宮筋腫の手術をしなくて済む方法を優先したいと。 もちろん子宮全摘も考慮していましたが、未婚の私を慮ってくれた先生が 「開腹手術を選択して、子宮を残してもいいのでは」みたいなスタンスだったこともあり 手術中に患部を直接触って、小さな子宮筋腫も根こそぎ摘出できる開腹手術を選択しました。 (手術経験があるため、癒着が心配されるので開腹をオススメされた、というのも理由のひとつでした) その結果、32個、合計約1kgの子宮筋腫を摘出できました。 そして心配していた術後の痛み、傷の治り具合、回復の経過は あくまでも私の場合ですが、 腹腔鏡と比較してもなんら劣るものではありませんでした 。 というか、本音を言うと、開腹のほうがラクでした。私の場合。 手術なんて人生の一大事ですから、ご自身で納得した方法で受けれらるのが一番です。 ただどうしても、『腹腔鏡>>開腹手術』みたいな認識が幅を利かせているように感じますので どちらも受けた者として「 開腹手術はそんなに悪くないよ 」とひっそりつぶやいてみます。

退院とその後の経過

退院の1日前に検査を受けて、貧血以外は問題なしと診断されて退院許可がおりました。 ただ、お腹のなかに血腫が確認できていて、これが組織に吸収されるときに発熱するかもしれないこと でも39度を超える発熱は感染の疑いがあるから、電話で相談するようにと言われました。 9日間過ごした病棟から出るときには後ろ髪を引かれる思いがしましたが、晴れて退院となりました。 数週間後に退院後の診察もクリアして(血腫も消えていた)、通院は終了となりました! これにて子宮筋腫&卵巣嚢腫治療は完了〜。 子宮を残したので再発の可能性はあるけれど、一年に一度の検診を受ければOK。 激しい運動や妊娠は、術後3カ月を過ぎればご自由に、と言われました。 退院後は基本的に家でゆっくり過ごしました(仕事はテレワーク、と称してサボっていた)。 外出するとゆっくりしか歩くことができず、信号を渡る際は変わりばなにならないよう気をつけていました。 普通に過ごしていれば傷が痛むことはなく、お腹が下に引っ張られるようなハリを感じることが多かったです。 傷付近のお腹がポッコリしていたので、退院後1カ月は腹帯をし続けました。 食事もとくに気をつけていたことはなく、鉄剤を服用中はアルコールをやめる、それくらいでした。

開腹手術後の痛みとは

開腹手術に決めたはいいけど、イヤだなー、コワイなーと思っていたのが『 術後の痛み 』でした。 経験者からは「息ができないほど痛くて困った」「腹腔鏡よりやっぱり痛かった」と聞いていましたし 担当のどの先生からも「痛くなったらすぐに痛み止めを処方しますから」と念を押されていましたし。 痛み止め(硬膜外麻酔)を抜いてから、いつ波がくるのかとビクビクしていたのですが 結果的に痛み止めの処方は一度もありませんでした(笑) 主治医もびっくりしていて「痛くないんですか?」と不思議がられました。 そういえば前回の腹腔鏡の際もあまり痛くなく、痛み止めの処方はありませんでした。 蛇足ですが、医師も看護師も心配して「痛み止め出しますよ」と言ってくれているのは重々承知していますが 1錠ずつすべて診療明細(お会計)に載ってきます。なんだか世知辛い……。 寝起きするときや、咳やくしゃみをするときは、圧がかかってお腹が張る感じはあります。 でも、それは痛いのかと言われると、注射のときの鋭い痛みとは違うというか 痛かったとしても一瞬なので認識できないというか。 経過としてはかなり順調で、主治医に「めっちゃ歩き回っていましたね!」と言われるほど(照) 積極的に歩いていましたし、ヒマだったので院内(別の階)にあった漫画を読みまくっていました。 お通じもちゃんと来ていて、みんなひと安心でした。 ひとつ困ったのは、手術時に出血が多かった(1000ml+)ので貧血がひどかったこと。 ちょっと動いたただけで息切れや疲労感がすごかった。 家族からも「顔色が悪い」と言われていました。 入院中も退院後も2週間くらい鉄剤を飲んでやり過ごしました。

術後2日目、痛み止めストップからのシャワー

術後1日目で歩けるようになり、2日目の朝に身体についているのは背中から入れている痛み止め(硬膜外麻酔)と 左腕に点滴用の針(ポート?)のみ。 2日目はだいぶ調子がよく、痛み止めのおかげもあってまったく痛くもなく かなりゆっくり&前かがみでしたが、病棟を歩き回りました。 前日に比べると、動いたあとの疲労感もだいぶ軽減されました。 お昼頃、研修医がやってきて背中の痛み止めを抜いてもらいました。 これでシャワーがOKになったので早速入ってみると……傷の全貌が分かりました。 想像していたよりもかなり下の位置に15cmくらい横に傷がありました。 ただ、傷の上にお腹のぜい肉がおおいかぶさっていて、はっきりとは見えません。 ぜい肉には間違いありませんが、ぜい肉もポッコリ腫れているようで、しかも触っても感覚がない。 患部を触って痛くなったら嫌なので、弱めのシャワーで洗い流す程度で済ませました。 退院前診察までまったく気づきませんでしたが、じつは傷口は縫うでもなく、医療用ホチキスで止めるでもなく 医療用ボンドで閉じられていました! 当たり前ですが、シャワーを浴びても傷口が開くなんてことはありませんでした。

歩けるようになったけれど貧血が……

術後1日目の朝ごはんのあと(あまり記憶が確かでない)立ってみることになりました。 立つ前に血圧と熱を測ってみると、上が88くらいを保ったまま上がらず、熱も38度という状態。 看護師さんも首をかしげて困っていましたが、ベッドに腰掛けてから立ち上がってみたところ…… 脳貧血がやってきて、気持ち悪い&冷や汗が出てきたので断念しました。 タイミングよく主治医がやってきたので、血圧が上がらずに立つのが難しかったことを看護師さんが説明すると 背中に入れている硬膜外麻酔(痛み止め)が血圧を下げてしまうとのことでした。 このときMAXの速度で痛み止めを入れていたのですが、どうしても歩けないようなら速度を落とすことに。 お昼を食べたあと再び看護師さんに支えてもらって立ってみました。 するとちゃんと立てるし、点滴台と一緒ですがトイレまで歩くこともできました! 痛みはありませんでしたが、お腹がぽっこりしていて前かがみなのと歩幅が小さかったです。 自分でトイレに行けるようになったので、尿管は抜いてもらいました。 点滴も針ごと抜いてもらって、フットポンプもお役御免となりました。 点滴が入っている間、手がジーンと痺れていて不快だったのですが、それもなくなってスッキリ! 腸閉塞を防ぐためにいっぱい歩こうと気合は十分でしたが、動くたびにすごく疲れました。 主治医いわく「手術で貧血が進んでしまったので、今日は無理しないで」とのこと。 この日の夕食から鉄剤が処方されるようになりました。 夕食後、歯磨きをするために鏡を見てびっくり! 歯茎が色を失っていて、ぶよぶよしていて、歯が全部抜けちゃうんじゃないかと心配になりました。 貧血がひどいとこうなるのかと実感しました。

手術直後の夜〜朝にかけての様子

10年前、一番つらかった(手術したのを後悔したほど)のが『術後1日目』でした。 腹腔鏡ですらおそろしく身体が言うことを聞かなかったのだから 開腹は痛みも伴って……乗り越えられるだろうか、そんな不安でいっぱいでした。 では実際どうだったのか。 手術が終わって病室に戻ってきてからは、ちょっと眠っては目を醒ましの繰り返しでした。 同じ体勢が苦しいなぁ、寝返り打ちたいけど点滴とフットポンプが気になるなぁ、これしかありませんでした。 酸素マスクをしていたはずなんですが、不織布マスクの上から当てられていて実感がありません。 夜には外したのかな? あとは夜中に点滴が終わると結構な音量でブザーが鳴るので 「周りの方ごめんなさい」と感じました(大部屋でした)。 こんな様子で夜が明けました。 朝になると看護師さんがやってきて、熱と血圧を測り、採血もやったような気がします。 それから手術着からパジャマに着替えてちょっとスッキリ。 (お腹に腹帯を巻いているのが分かった) お水を飲んでみようと言われて、ふた口くらい飲みましたが、もういいやって感じでした。 術後〜夜にかけて「水飲んでみたいかも」と思ったように記憶していますが……。 作業は怒涛のごとくに進み、次は水分多めの朝食。 まったく食べられる気がしないのと、テーブルが遠くて食べにくく、ほとんど手をつけませんでした。 身体をうまく起こすことはできませんでしたが、痛みはまったくありません。 お腹のどの辺りを切ったのか、どのくらいの傷なのか、まったく見当がつかないくらいでした。

手術室から病室に戻ってくる

朝一番の手術なので、午前6時半以降は飲み物を含め何も口にしないまま9時前に手術室へ向かいました。 この時点でもまだ下剤は効いていた記憶があります。 手術室(前室)で本人確認と手術内容の確認を病棟看護師と手術室看護師とで行なってから、いよいよ入室します。 前回も思いましたが、手術室看護師さんって本当に心強い存在です。 「不安なことがあったらすぐに言ってくださいね。私たちはすぐそばにいますから」 泣きそうになりましたよ。 手術台に登って上着を脱いで横になると、点滴、硬膜外麻酔と作業が進んでいきます。 違和感ひとつなく硬膜外麻酔が終わって仰向けになると「だんだん眠くなりますよ」と言われて…… 目覚めたときには手術は終わっていました。この時間の飛び方は本当にすごい(苦笑)。 気づいたら病室で寝ていて、母が話しかけてきました。 手術時間は 5時間ほど かかって、筋腫は全部で 32個(! ) 摘出したこと。 出血が1000mlあって(貯血400mlはすべて使用)輸血するかもしれないこと。 ※母が勘違いしていて「輸血した」と言っていましたが、実際は輸血はしませんでした。 術前に聞いていた話と随分違うなぁとぼんやり思いながら、自分の身体を確認してみると 足には血栓防止ポンプ、顔には酸素マスク(普通のマスクの上からだった)、そして点滴をしていました。 まったく違和感はなかったけれど、尿管も入っていました。 痛みはまったくなかったけれど、ずっと同じ姿勢でいるのがやや苦しいのと、なぜか腕が熱かった。 腕を布団の外に出して確認してみると、汗が滴っていました。 そのまま布団の外に出したままにしておいたら、次に見たときには汗は引いていました。